本連載2回目で、部下の離職理由がマネジメント層の認識と乖離が大きいというお話をしました。マネジメント層の89%は「彼らは賃金が原因で辞めていった」と考えているのに対して、実際は75%が「上司との関係」が原因だったという内容です。
このように、部下がついていけないと感じる典型的な上司として、指示が曖昧にもかかわらず結果の責任を取らない人、という像が挙げられます。単に「任せたよ」というだけで、部下にしてみればどの時点でレポートしたらいいか、誰とコンタクトしたらいいのか、何が目的なのかが明確ではないということです。これでは部下のやる気はアップしません。
また、こういったマネジメントに限って問題が起こった時に責任を取りたがらない傾向にある、という困った状況があります。

マネジメントの方々には、ぜひ丸投げの権限移譲ではなく、チームの”内発的モチベーション”を解放してイキイキと輝かせるための「デレゲーション」のスキルを磨いてほしいと思います。
今回は、「正しいデレゲーション」スキル獲得のための基本をお話いたします。

「デレゲーション」と「権限移譲」というワードが出てきますが、これらは同じ意味ではないのでしょうか?

実は、私は以前、英語の「Delegation(デレゲーション)」と日本語の「権限移譲」を同じように使っていました。なぜならば、英和辞書で調べた際に、「Delegation」の和訳として「権限移譲」が掲載されていたからです。
ところが過去4年間さまざまなお客さまとお話してきて、「デレゲーション」と「権限移譲」は同じ意味ではない、ということが分かりました。

「自分の仕事を任せられる部下がいない」
「後継者が育たない」

こういった課題をお持ちのお客さまにお話しを伺うと、多くの方は「部下に権限移譲を行っている」「任せている」とおっしゃいます。しかし、そのやり方は「俺の背中を見て真似しろ」そして「丸投げ」的な意味合いを持つことが多いです。

「デレゲーション」はマネジメントの持つ権限・業務を部下に渡すだけではない、ということですね。

辞書の上での「権限移譲」の定義は確かに「企業の経営組織において上長から部下に対して権限を付与する行為」です。
それと比較して、「デレゲーション」は「Empowering another person to act in one stead
(自分の代わりに相手が動けるように権限、そして、必要な力を与える)」となっています。つまり「Empowered」という意味であります。

違いは微妙なようで、実はとても重要です。

「権限移譲」の定義が「決める権限・権利を渡す」その意味しかないのに対して、「デレゲーション」は「力を移譲する」、要は知識や必要なサポートまで、すべて含めて権限を付与するマネジメント手法が「デレゲーション」の意味になります。

「部下にちゃんと任せている、権限移譲できている」というマネジメントの方は手法を今一度見直す必要がありますね。

「デレゲーション」はマネジメントの持つ権限・業務を部下に渡すだけではない、ということですね。

社員が自ら考え、行動するために必要な “内発的モチベーション”を自発的に起こすと考えるのであれば、後者の「デレゲーション・Empowerment」が必要であることがご理解いただけると思います。

ただ、注意すべきなのは、部下の“内発的モチベーション”をアップすればいいと言う者ではありません。マネジメントが「デレゲーション」する際には、必要な場合はすぐにサポートできるように適切な距離感のコミュニケーションを密にとり、不測の事態に備えなければなりません。これが、リスク管理の面でもそして組織全体のパフォーマンスアップの面でも、必要なそして重要な役割を果たしているからです。

私たちは、これを独自のメソッドで6つのシンプルなステップとし、フレームワークを作成しました。マネジメントの方々が「デレゲーション」スキルを獲得し、実践の場で活かせるよう徹底的に伴走します。
シンプルステップについては、セミナーでお話していますので、ぜひご参加ください。

これからは広い意味での「デレゲーション」を実行して社員の“内発的モチベーション”と組織のパフォーマンスアップを実現してみてくださいね。

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